ビジネスの世界を始め、数字が話題になる場面はよくあります。
今回紹介する『ドリーム』は、そんな数字や数式に関する表現が多数出てくる映画です。
『ドリーム』は、NASAで働く3人の黒人女性が主人公。
国家の威信をかけた宇宙開発「マーキュリー計画」の裏で、それぞれのポジションで懸命に奮闘します。
こんな人におすすめ!
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『ドリーム』はどんな映画?【あらすじ等】
映画情報
- 原 題 : Hidden Figures
- 公 開 年 : 2016年
- 主 演 : タラジ・P・ヘンソン
- 監 督 : セオドア・メルフィ
NASAの研究所で計算係として働くキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、その数学の才能を認められ、スペース・タスク・グループでの業務を命じられます。
しかし、そこは白人ばかりで、あからさまな人種差別を受けることに。
また、同研究所で働くドロシーとメアリーも、それぞれ管理職、エンジニアとなることを希望しながら、黒人女性という理由でその道は固く閉ざされたまま。
3人は理不尽な差別に苦しみつつも懸命に努力し、ソ連との熾烈な宇宙開発競争を勝ち抜こうとする研究所内で、自分たちの存在価値を高めていきます。
スペース・タスク・グループの責任者、アル・ハリソン(ケビン・コスナー)も物語の重要人物として登場するので、注目です!
映画『ドリーム』の中で話される英語の特徴は?
NASA内の研究所を中心に、コミュニケーションが展開されます。
有人宇宙船計画というプロジェクトに関する話題がメインで、プライベートの場面では家族との日常会話の表現と、バランスよく英語セリフに触れることができます。
場面や用語について
主人公たちの職場であるNASAのラングレー研究所内が主な場面。
国家プロジェクトとしてのプレッシャーを受けることもあり、やや殺伐とした、緊張感のある場面が多くなっています。
ただ、主人公たち3人のカジュアルな間柄や、温かい家庭のシーンも描かれ、作品全体の印象は暗くありません。
職場以外の場面として、自宅やパーティ会場、街中、ニュース映像などのシーンもあります。
宇宙開発の研究所では、やや専門用語も出てきますが、難し過ぎてストーリーが分からなくなるといったことはないので、安心してください。
登場人物が話す英語について
登場人物は全て、標準的なアメリカ英語を話します。特にクセのある発音やスラングを話す人物はいません。
登場人物は研究所内の関係者が多く、知的水準の高い人物同士の会話が展開されるので、ビジネスにも応用できる英語表現をしっかり学ぶことができます。
宇宙開発という国家的なプロジェクトを描く本作品で、プロジェクト推進に必要となる表現を学んでいきましょう。
*ビジネス英語を学べる映画全般は、以下の記事を参考にどうぞ。
私(ホズ)が、徹底的にこだわっているビジネス英語勉強法 ー それは映画を使った英語学習です。 そのおすすめ理由は記事「映画を使った英語学習をおすすめする3つの決定的理由【TOEIC950の実績あり】」で説明した通り。 そこで今回[…]
映画『ドリーム』で学べる英語表現
※著作権違反とならないように、一部表現を変更している箇所(固有名詞を代名詞に変更する等)があります。
※()内は劇中でそのセリフが出てくる目安の時刻です。
※英語音声には「音読さん」を使用しています。
ご迷惑をおかけしたくはないのですが。
キャサリンたち3人が乗る車を、パトカーで職場まで先導すると言ってくれた警察官に言うセリフ。
「bother」は「邪魔をする、面倒をかける」という意味です。
相手に気を使っていることを示せる表現で、ビジネスでも何かを対応してもらう時に使えます。
彼は直ちに対応することを求めている。
激しい宇宙開発競争で、上層部からこのようにプレッシャーを受けるアル・ハリソン(ケビン・コスナー)。
「response」には「反応、返答、対応」といった意味があり、ビジネス英語としても頻繁に使われます。
研修プログラムにはもう一人分の空きがあります。
エンジニアの研修プログラムに空きがあることを告げられたメアリー。
ここでの「opening」は「空き」という意味で、欠員を表しています。
我々はそれに取り組んでいます。
上司のアルにあらためて問題解決を促され、ポールが発したセリフ。
私も仕事で本当によく使う英語表現です。このまま覚えて、すぐ使えるようにしましょう。
今日中にそれが必要だ。
キャサリンはアルからこのように業務指示を受けます。
「by the end of ~」で、「~の終わりまでに」と期限を明確に示すことができます。
これも業務で本当によく使う英語表現です。
念のため再確認します。
ポールから計算結果を渡されたキャサリンは、このように言います。
これも仕事でよく使う表現なので、このまま覚えてしまいましょう!
その数値はすでに確認済みだ。
宇宙船の打上げに必要な数値は、厳密な正確さが求められます。
このように、確認が完了したことを伝える英語表現も覚えておきましょう。
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『ドリーム』で気になることを質問!【ホズが答える】
本作品は1960年代を舞台にしていますが、ビジネスに使える英語表現をたっぷり学べる映画です。
意外かもしれませんが、仕事で使える表現の数は、私(ホズ)が見てきた映画の中でも上位に入るほどです。
宇宙開発というプロジェクトを扱っており、上層部への説明責任やチーム内での業務推進、意思決定のシーンが多数出てくることが理由です。
もちろん、数値の厳密さが求められる点でも、現代のビジネスと共通しています。
心配しなくて大丈夫。全く問題なく内容は理解できますし、一般的な英語表現もたくさん学べる映画です。
もちろん専門用語も出てきますが、予備知識がなくても大体イメージできますし、それほど頻繁に出てくる訳ではありません。
難しいプロジェクトへの挑戦という、普遍的なテーマにグイグイ引き込まれつつ、しっかり英語力もつけることができますよ!
映画『ドリーム』のここにも注目!
原題『Hidden Figures』秘話!?【タイトルに込められた2つの意味】
原題である『Hidden Figures』は、直訳すると「隠された数値」。
つまり、「見つけ出さなければならない数値」ということで、これはキャサリンたち数学者が、計算によって割り出すべき宇宙船の突入ポイントや落下地点を示唆しているのでしょう。
そして、黒人女性であるがゆえに差別され、長年その功績が公に認められることがなかった主人公たち、つまり「歴史に埋もれていた人々」も指していると思われます。
この映画の2つのテーマを見事に表現した、とても素晴らしいタイトルです!
邦題『ドリーム』秘話!?【なぜこうなった…?】
一方、邦題の『ドリーム』。
正直なところ、ありふれていて曖昧さがぬぐえず…。残念ながら、きちんと名が体を表しているタイトルとはとても思えません。
実は、もともと配給会社からは、『ドリーム 私たちのアポロ計画』という邦題が発表されたそうです。
しかし、本作品は「マーキュリー計画」を扱っていて、「アポロ計画」は終幕にその名が出てくるだけ。
そのため、多くの批判や疑問の声が集まり、配給会社が邦題を『ドリーム』に変更する異例の事態となりました。
このドタバタを考えると、原題の『Hidden Figures』のままでよかったのでは?…と感じている人も多いことでしょうね。私もその一人ですけど。(苦笑)
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